アフターダーク

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

先日の「東京奇譚集」に続いて,春樹の本を読みました.アフターダークはなぜか読みそびれて今まで放ったらかしにしていた本です.


程よく混んでいる朝の通勤ラッシュ(京浜東北線)の中でこれを読んでいると,自分も都会というシステムの中に組み込まれている小さな存在で,自分の思いとは関係なく何かに流されたり,追いかけられたりしているような気になってきました.(私はそんな印象をこの本から受けたという事です)


私は自分の世界を持っている方だと言われ,また,世間の流行とは全く無縁の生き方をしているけれど,不安がない訳ではない.この本のマリのように.そして,しっかりしていると言われ,かまって欲しいと思いながらも子供時代を過ごしたところもマリに似ている.なんだか自分の周辺の事を書かれているような気がしました.


しかし,読書後,どこかもう一つ物足りなさを感じていましたが,そう感じている人は少なくないようですね.「海辺のカフカ」を読んだ時は興奮しましたが,この作品は...あれ?...という印象.