Word の解説書としては満点の評価なんですが...

エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方

エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方

ソフトウェアエンジニアのための,Word の使い方入門です。ソフトウェアエンジニアが,ソフトウェアプロジェクトの現場において,一般的に書くであろう技術文書を,体裁よくメンテナンス性高くする方法が書かれてあります。書籍のコンセプトも面白いし,私が地道に覚えてきた Word の機能と使い方のノウハウが整理されて書かれてあるので,参照のため机の横においておこうと思います。良書だと思います。

しかし,残念な点がいくつかあります。


1) 作者は「体裁が良い」と「美しい」と「読みやすい」を混同しています。体裁が良いと,読みにくくはありませんが,読みやすいかどうかはわかりません。現に作者のスタイルを貫いたこの本は読みやすくはありませんでした。複雑な内容を,文章と Word のスクリーンショットだけで説明しようとしているのです。図を使ったら効果的なのに,どうやら使わない方針のようです。読み手のことを考えていません。あるきまったスタイルに沿ったドキュメントだから読みやすいとは限らないのです。うまく言えませんが,まるでソースコードのような,左脳だけを使って読まされているような,そんな気分になりました。これを美しいと言われても,そんなの人それぞれですよね...と思いました。

2) 作者は文書の作成で,これまで嫌な思いをたくさん経験されたのでしょう。でも,ちょっと感情的な嫌な言い方は避けた方が良いと思います。例えば,作成者と更新者の欄があるドキュメントは許せないようで,推測ですが,更新者の欄に名前を書いたら,自分の更新部分以外のところで文句を言われたりしたのでしょう。なにやら角のある書き方が見受けられます。でも,どんな作成者欄,更新者欄だったのかわからないので,なんで文句を言われたか,ちょっとよく理解出来ません。図でも書いておけば良かったのに,自分のドキュメント流儀に固執から内容がわからないのですよ。


ソフトウェアエンジニアの Word の解説書としては満点の評価をするけれど,この本は決して読みやすくはないし,ところどころ文章のロジックにへんなところがあるうえに,角の立つ書きようがされてあって,そういった点で評価出来ません。

最も致命的なのが,この本自体が,この本で書かれてあることを実践してスタイルが決められているのですが,私は美しいと思わないし,読みやすいと思わなかったことです。